肺の健康-COPD
COPDとは
・COPDは「慢性閉塞性肺疾患」を意味する英語の略語で、大気汚染やタバコの煙などの有害物質を長期間吸ったために肺に炎症が起きる病気です。そのため、タバコによる「肺の生活習慣病」、たばこ病とも呼ばれています。
・患者数は約530万人といわれていますが、実際に医療機関に受診している人は約22万人であり、受診していない人が多数いると考えられています。
タバコの煙などにより肺に炎症が起こると‥
・気道と呼ばれる空気の通り道が狭くなるために呼吸がしにくくなって息切れを感じるようになります。
・狭くなった気道に分泌物がたまると、咳や痰がいつまでも続くようになります(慢性気管支炎)。
・気道の先につながった袋状の肺胞が破壊されてしまうと、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなります(肺気腫)。
COPDの可能性がある人
①:・40歳以上
②:・毎日タバコを吸っている人。または今はやめていても、過去に10年以上喫煙していた人。
③:・同世代と比べて息切れがしやすい。
・風邪をひきやすい、または長びきやすい。
・咳や痰が慢性的に続いている。
①②であり、③の少なくとも1つ以上当てはまる場合は、呼吸機能検査などを受けることをお勧めします。
COPDの検査
・胸のレントゲン検査で肺の状態をみたり、呼吸機能検査(スパイロメトリー)で肺の機能を測定することで、COPDの診断を行います。当院で検査可能です。
・スパイロメトリーとは、マウスピースを口にくわえて、最大限に息を吸ったり吐いたりする検査法で、自分の肺年齢がわかります。実際の年齢よりも肺年齢が高いときにはCOPDの可能性も考えられます。
COPDの予防・治療
・たばこ煙が最大の危険因子です。何歳であっても禁煙により肺のダメージを減らすことが期待できます。
・薬を使ってもダメージを受けた肺の働きは正常には戻せませんが、禁煙、服薬、適切な食事や運動などにより、COPDの進行悪化を防ぎ、呼吸機能の改善を見込めます。
・COPDの進行、増悪により、呼吸が苦しくなり、酸素ボンベなしの生活が困難になったり、寝たきりなど深刻な状態になることもあります。
まとめ
・40歳以上、喫煙者はCOPDになるリスクのある人です。一度、肺の状態を調べることをお勧めします。
・初期症状は咳、痰、息切れですが、非常にゆっくり進行するため、自覚しにくい病気です。呼吸機能検査(スパイロメトリー)が唯一の早期発見が有効な検査です。
・COPDによる肺のダメージはもとには戻りません。治療の目標は病気の進行を遅らせることになります。禁煙はCOPDの最大の予防法であり治療法です。