不眠症に注意点
不眠の治療は、生活習慣の改善や原因の除去がまず大事です。睡眠や不眠に対する考え方、対処法の基本は以下のようになります。
☆眠れる環境作りが大切です
・ぬるめのお風呂でリラックスする。
・コーヒーや紅茶などカフェインを含むものを寝る前に飲まない(就寝4時間前までに)。
・寝酒や、寝る前の喫煙を控える(お酒も就寝4時間前まで)。
・夜はリビングルームの照明を控えめにする(パソコン、iPadなどLED表示の電子機器の夜間の使用は避ける)。
・眠りを誘う、心を落ち着かせる音楽などでリラックスする。
☆睡眠時間とりすぎていませんか?
人間は起床から17時間くらいで眠くなるようになっています。→遅い時間に起床すると眠くなる時間も遅くなります。
早寝-遅起きは特に高齢者にとっては睡眠時間のとりすぎになることも。不眠で悩まれている場合は、布団にはいっている時間を7時間以内に制限してみてください(早めに寝る、ダラダラと寝床にいるのは逆効果)。
同じ時刻に毎日起床しましょう。そうすることで睡眠のリズムがついてきます。
昼寝は控えましょう。昼寝のしすぎは不眠の原因となります。昼寝をするなら、15時までに20~30分間まで!
眠りが浅いときは、睡眠時間の取りすぎかもしれません。むしろ積極的に遅寝・早起きに。
睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。
睡眠時間の取りすぎは、睡眠薬の効果も落ちます。早寝・遅起きの生活パターンでは睡眠薬は効きづらくなりますので注意。
(例えば、眠くならない早すぎる時間帯に睡眠導入薬を使用しても、薬の効きは悪くなります。その場合は、予定起床時間の7時間前くらいに睡眠導入剤を使用してみてください。いつもより少し夜ふかしをして、眠くなってから睡眠導入剤を飲むのもよいでしょう。)
☆不眠症治療の注意点
睡眠薬は、種類によりますが少なからず依存形成があります。よって、必要最小限のものをなるだけ長期間使用しないようにするのが原則です。
週に3回以上睡眠導入薬の内服をしている場合は、内服をやめると逆に寝つきが悪くなることが多いため、内服をやめる時は医師への相談が必要です。
睡眠薬の作用は睡眠作用の他に、筋弛緩作用、認知機能の低下などがあげられます。これらの作用によって、特に高齢者においては転倒などの事故や異常行動などを引き起こすことがあるので要注意です。寝れないからと過量に内服することは危険です。
☆うつ病に注意
うつ病を合併している場合は、うつ病の治療が必要な場合もあります。不眠症の5人に1人はうつ病とも言われています。以下の2つの症状のいずれかがある場合は、うつ病の可能性があります。
①この1ヶ月間、気分が沈んだり、ゆううつな気持ちになったりすることがよくある。
②この1ヶ月間、どうも物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめない感じがよくある(例:おいしいものを食べたいと思わなくなった)。
また、うつ病の不眠は、就眠困難よりも、途中覚醒、早朝覚醒といった睡眠維持の問題が多いです。寝つきが悪い場合はうつ病より不安症で多いので、抗不安薬が有効のこともあります。